皆様いかがお過ごしでしょうか。
以前「
文化芸術振興基本法」が制定されるという大きなニュースがありました。
著作権の問題、伝統文化の継承と育成などの目的からスタートした法律ではありますが、わが国の文化行政に対する方針が法律としてしっかりと位置づけられたことは意義のあることでした。
この基本法の第24条の「学校教育における文化芸術活動の充実」が掲げられたことは、これからの教育行政への影響が期待されるところですが、われわれの教科としても、改めて教科性が問われることになります。
法律ができた、だから芸術科は安泰だ、とはいかないようです。この法律によって高等学校の芸術科が必修教科として守られたのでしょうか。それよりもむしろ気になる点はこの法律によって課題を課せられたという面があることです。今まで、「美術」ではどちらかというとわが国の伝統的な美術、工芸のジャンルを扱う機会はあまりなかったと思います。(異論もあろうかと思いますが)これからは積極的にわが国の伝統文化に眼を向けなくてはならないことになります。
基本法の前文の中にいくつかのキーワードがあります。「国際化、世界平和に寄与、文化的な伝統を尊重、伝統的な文化芸術を継承・発展・尊重、国民共通のよりどころ、自己認識の基点など」この法律は、一つには文化芸術の創造、享受を目的としていますが、もう一方で伝統文化に重きを置いています。この伝統的な文化芸術が大切であり守っていこうという主旨から、学校における芸術教育の現状、そして今後についての文科省の方針を問う質疑が実際に国会でありました。鑑賞の重視、総合的な学習の時間とのリンク、我が国の芸術文化の創造の担い手の育成、教員の指導力の向上、研修、指導方法の改善などの内容でした。
年間を通じて伝統的な内容を扱うことは、学校設定科目により可能になりますが、教える側がなかなか踏み切れないでいるのが現状ではないでしょうか。
音楽では、すでに伝統的な音楽(和楽器)を授業に取り入れている学校があります。美術、工芸でも何らかの見解を持つべきと考えますが。
気になる点を書き出します。
学力低下についての中で「・・・理科教育がそんなに大事なら、何かをつぶさなければだめ。いずれ学力批判にとどまらないから、数年後にそういう時代が来る。数年後にどうなるか。「総合」をつぶすか、いくつかの教科をつぶすかこういう選択が出てくるわけ。当然教師間の壮絶なバトルがこれから始まっていく。「総合」はつぶれそうで案外つぶれない。・・・」「子供が勉強しないということと知性が衰弱しつつあるということだから、そのためには総合的な学習の時間がいる。」
「一定の内容に時間をかけるときに、文部科学省のやりかたは、では内容を減らそう、それに対して学力批判派は、内容は減らすな、時間を増やせ、こういっている。」
「文部科学省は、各教科の時間が減ることはいいこととは言っていない。・・・要するに特定の教科をつぶせなかったから教科を平等に減らした。学力批判派はそこをはっきり言わないからよくない。算数や国語や理科が重要なら、一番単純なやり方は、他の教科をやめること。」
ここで出てきている特定の教科や他の教科というのは、やはり芸術教科を指していると解釈すべきだと思います。新学習指導要領への批判、とりわけ学力低下への懸念はマスコミでも取り上げられているほど国民の関心事になっています。学力批判派の圧力も世論の後押しでも益々勢いが付き、今後次期改訂に向けて、さらに厳しい状況になってくると予想されます。
このままでは、小学校低学年では「表現科」、5,6年生で「芸術」で選択制、中学は「芸術」でこれも選択制。高校は必修ではなく「芸術」で選択にということになってしまう可能性もあります。
先の「文化芸術振興基本法」に掲げられたことが、今後どのような影響を美術、工芸の授業に及ぼすのか今後も情報を集めるとともに皆様からのご意見も伺い、新たな情報を提供できればと思っています。
岩手高校 八重樫律幸
posted by 管理者 at 13:04| 岩手

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